2019年11月10日(日)、ロームシアター京都のメインホールにて「『Free!』シリーズ オーケストラ・コンサート2019」【昼の部】【夜の部】が開催されました。
『Free!』シリーズとしては、初の開催となるオーケストラ・コンサート。今回の登壇者は、これまで作品とともに歩んできた、七瀬遙役の島﨑信長さんと音楽の加藤達也さん。そして、演奏は指揮者の栗田博文さん率いる、関西を代表するオーケストラ・関西フィルハーモニー管弦楽団と、作曲家としても活躍するピアニストの伊賀拓郎さんを迎えた、豪華なメンバーで届けられました。加藤さんが「熟考に熟考を重ねた」という珠玉のセットリストが、オーケストラでどのように演奏されるのか。会場はこの日を心待ちにしていた大勢のファンの期待に包まれていました。
コンサートは島﨑さんによる遙のセリフで幕を開けました。
「水は生きている。そんなことを昔、考えていた。確かに水は生きている。どんなに成長し、変化した体でも同じように包み込んでくれる。まるで生き物のように……」。その言葉を皮切りに「A youth through the water」の演奏が静かに始まり、伊賀さんによるピアノの旋律と、弦楽器の重厚なハーモニーによって、会場は『Free!』の世界へ誘われます。
続いて、6年間にわたって物語とともに紡がれてきた名曲メドレーがスタート。1曲目を飾ったのは「Taste the satisfaction」。デジタルサウンドの原曲が壮大なオーケストラで奏でられ、客席の手拍子とともに会場が一体となってゆきます。ステージ上のバックスクリーンには、演奏されている楽曲に合わせた本編のアニメーションが映し出され、音楽と映像によって感動の記憶が呼び覚まされます。電子音とオーケストラの演奏が融合し、「Words that changed my life」、「Brilliant swim」と涙を誘う情緒的な楽曲から、胸を熱くさせる楽曲まで、『Free!』シリーズを彩ってきた名曲が次々と奏でられます。
『Free!-Eternal Summer-』からは、「Dive to the Future」、手拍子を交えた愉快な「Join us!」、橘真琴が遙にフリー対決を挑んだ「My future, your future」と彼らを導いた楽曲が続き、「My best team」では山崎宗介の想いを背負った熱いリレーを思い起こさせました。そして、会場が静まり、照明が青と緑に変わると伊賀さんの切ないピアノソロから始まる「Only for your future」へ。遙と真琴が未来への想いをぶつけ合うシーンに使われた名曲を『劇場版 Free!-Timeless Medley- 絆』のバージョンで披露、会場は大きな感動で包まれました。
TVアニメ『Free!』と『Free!-Eternal Summer-』のメドレーが終了したところで、島﨑さんと加藤さんによるトークコーナーがスタート。【昼の部】は、それぞれが思い入れの強い楽曲は何かという話題で、加藤さんは「Only for you」(「Only for your future」の原曲)を挙げ、「遙と真琴のことを考え抜いて作りました」と語りました。島﨑さんは「Rhythm of port town」を挙げ、「岩鳶の日常風景がたくさん浮かんでくる曲です。ある意味でエモーショナルな曲よりも、ぐっと込み上げて来るものがあります」と熱く語りました。
また、『映画 ハイ☆スピード!-Free! Starting Days-』の音楽制作を振り返り、「思い入れは強いけれど、作り込みすぎないように、あえて“抜く”ことや“やり過ぎない”こと気をつけるのが難しかったです」と加藤さん。一方、島﨑さんはTVアニメ『Free!』スペシャルED曲「EVER BLUE」を、『Free!』の事を思い出す度につい口付さんでしまう曲だと話します。「こだまさおりさんが書かれる歌詞も作品の世界観にすごく入り込んでいて、キャラクターと一緒にキャラクターソングを学ばせてもらいました」と遙として初めて歌った時の想いを振り返りました。
【夜の部】のトークコーナーでは、『Free!-Dive to the Future-』の話題が中心となりました。加藤さんが「『Free!-Dive to the Future-』の音楽は、これまで積み上げてきたシリーズの曲の変遷の上にサウンドメイキングをしていて、遙たちの感情や年代感に合わせて、音のカラーを変えています」と語ります。それらを全て踏まえた上で、同じメロディモチーフを使っていても、印象が異なる曲として聞こえるような工夫をしているそう。例えば、『Free!DF』の「第3話 異国のフィストスイム!」で、凛が朝食を採るシーンで印象的に使われている「Rhythm of new sensation」はTVアニメ『Free!』にて制作された「Rhythm of port town」が元になっていると話しました。
【昼の部】の後、ピアノの伊賀さんから加藤さんに「(演奏をもっと全力で)やっちゃっていいですかね?」という話があったそう。加藤さんは「伊賀さんは天才的なピアニストなのですが、【夜の部】の彼の演奏は、さらに素晴らしいです!後半は、そんなピアノの演奏パフォーマンスにも注目して楽しんでください!」と、奏者もいつも以上に熱を込めて演奏していることを伝えました。
後半は、作曲をした加藤さん自らピアノ奏者として演奏に参加。トークコーナーで話題となっていた「Rhythm of port town」、「Rhythm of new sensation」、「Departure for the future」というシリーズの繋がりをメロディで表現した楽曲が披露されました。
そして、プログラムは『映画 ハイ☆スピード!-Free! Starting Days-』メドレーへと続きます。「Pure blue starting」や「Starting days」など、『Free!』シリーズとは色合いの異なる『映画ハイ☆スピード!』ならではの世界観を作り上げた楽曲たちが奏でられました。真琴の心情に寄り添った「My true self」、岩鳶中水泳部のリレーチームの誕生した「Best swim,best team」と、映画の数々のシーンがよみがえります。
メドレーはいよいよクライマックスへ。遙による「俺たちが繋いできた絆は、この先の未来も、ずっと続いていく。たとえ、どんな困難が待っていようとも、俺は泳ぎ続けたい。抱いた夢をこの手につかむために!」という力強い台詞で、『劇場版Free!-Timeless Medley- 絆』そして、『Free!-Dive to the Future-』のメドレーへ突入します。積み上げて来た『Free!』の世界観から、さらに大きな世界への広がりを感じさせる「What you make it」、「Into the new world」など『Free!DF』のカラーを色濃く映し出した楽曲が、スクリーンに映る遙の姿と重なりながら、力強いオーケストラによって奏でられました。
公演曲の演奏が全て終了し、指揮の栗田さんが降壇すると、会場からは公演の終了を惜しむアンコールが。その声に応えて、加藤さんが指揮者としてサプライズ登壇!『Free!』のメインテーマのひとつでもある「Melody of ever blue」が加藤さんの指揮によって満を持して演奏されました。
そして、栗田さんが再び指揮台に立ち、公演のラストを飾ったのは『Free!-Dive to the Future-』のメインテーマ「Never seen landscapes」。島﨑さんの「未来へ羽ばたく遙たちにエールを送る気持ちで、一緒に大きな声で歌ってください!みんなで見たことのない景色を見に行きましょう!」という言葉で、観客の合唱と演奏で会場の音楽と気持ちが一つになりました。
鳴り止まない拍手と歓声の中、再び全出演者がステージに登壇。【夜の部】の客席では、自然とスタンディングオベーションが起こり、拍手は一層大きくなりました。
出演者から最後に一言ずつ、挨拶が述べられました。
伊賀拓郎さん「このコンサートに呼んでいただいて、ありがとうございました。加藤さんの音楽も素晴らしく、自分自身も感動しました。ありがとうございました!」
栗田博文さん「オーケストラ・コンサートと聞くと、緊張してしまうかも知れませんが、敷居が高いということは絶対にないので、これからもリラックスしてオーケストラ・コンサートを楽しんでもらえると嬉しいです。それから、僕自身こうして皆さんと一緒に盛り上がれることを、いつも楽しみにしています。今日は本当にありがとうございました!」
島﨑信長さん「今のこの歓声が僕の感想の全てです!とても幸せな時間をありがとうございました!!」
そして、最後は音楽の加藤達也さんからの力強い言葉で締めくくられました。
加藤達也さん「『Free!』の音楽に携わらせていただいて6年になりますが、今日という日を待ち望んでいました。会場の皆さんと素晴らしい時間を共有できて幸せです。また、このような機会を共有できるように僕もこれから頑張っていきます。是非、これからの『Free!』をよろしくお願いします!」
最後に『Free!』シリーズの製作委員会からのメッセージを、島﨑さんが代読しました。島﨑さんがメッセージを読み終えると、会場からは「ずっと待ってるよーー!!」というあたたかいレスポンスが。島﨑さんもそれに対して大きな声で「待っててーーー!」と大声で答え、今回の公演で一番大きな拍手が沸き起こりました。
『Free!』シリーズ初となるオーケストラ・コンサートは、笑顔に包まれ、これから繋がっていく「未来」を感じさせながら幕を閉じました。
©おおじこうじ・京都アニメーション/岩鳶高校水泳部
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